
住み継ぐ家、木のぬくもりに抱かれる
リノベーション

高松あゆり(写真右) PROFILE
カフェ「こかげ」オーナー。2017年に農村部の畑地区に和食カフェ「こか げ」をオープン。近隣で採れた有機野菜や上神谷米を使った創作和食を提供。> ニュータウン開発当初(40年ほど前)に建てた家を平成8年に新築し、現在の住まいに。今回のリノベーションは、1階ダイニング・リビングを対象に行っています。
高松:もともと昭和40年代に同じ場所に建てられた家に、母方の祖父母、母、叔母が4人で暮らしていました。母、叔母が結婚して祖父母のみが住んでいま したが、平成8年家を建て替えてから、祖父母、父母、兄、そして私とで2世帯3世代の暮らしが始まりました。その後祖父母が亡くなり、兄と私が家を出て、父母のみの世帯になりました。平成27年に母が亡くなったのを機に一階をリノベーションし、私が戻ることになりました。

> 思い出の詰まったお住まいをリノベーションして、2世帯の暮らしを始めた感想 を高松さんと父、良介さんにうかがいました。
高松:今回、自然をコンセプトに木の温かさを感じられるリノベーションを設 計者の西さんに依頼しました。希望を叶えていただき、帰ってきた瞬間に木の匂いがする家になりました。庭の緑もよく見えるのがとても気に入っています。薪ストーブのあるカウンター部分は特にお気に入りの場所になっています。これから、ホームパーティ等を開き、我が家に人を招いていきたいと思います。父が居てくれることで安心感を得られます。将来子どもが産まれた時も、子どもをみてもらえればと考えています。
高松良介:自分ひとりだと家のことが出来ないので、娘に帰ってきてもらえて良かったです。食卓がまたにぎやかになり、嬉しく思っています。

> 次に設計者の西紋一級建築士事務所・西恭利さんに今回のリノベーションについてうかがいました。今回のリノベーションで施主さんとのエピソードについて教えてください。
西:当初はフローリングをかえる程度の内装改修の話から始まりましたが、打ち合わせしていくと、住まい方についてさまざまな要望が出てきてこのような形になりました。施主である娘さんは創りたい空間に対するイメージがはっきりしており、その思いを引き出す形で設計させていただきました。
> リノベーションのポイントを教えてください。
西:もともとは庭側に和室が2室あり、通り側にキッチンのある空間を、一室のリビングダイニングとし、庭にデッキを設けて内部空間が広がる形にしました。家の内部が庭と自然とつながるように、窓際から半間程度空間の天井を低くし縁側空間を創造しています。また、空間の第一印象を決める見せ場として薪ストーブ周辺のスペースにはこだわっています。テレビ台や薪ストーブの上のカウンターを造りつけ、照明やエアコンを目隠しするルーバーも設置しました。施主さんは理想の使い方をしていただいています。
かつては2世帯住宅に対して否定的な意見もありましたが、近年は2世帯住宅を肯定的にとらえる意見が多く聞かれることが何よりです。2世帯で豊かに暮らして頂ければ設計者としてはありがたいことです。

